スターバックスに学ぶ、再来訪の仕組み

スターバックスは、アメリカ合衆国の喫茶店チェーンです。1971年にアメリカ合衆国ワシントン州シアトルで開業した企業です。

世界最大のチェーンのひとつで、2023年時点で世界86市場に38,038店舗を展開していて、その約半数に当たる19,592店舗が直営店、残り半数の18,446店舗がフランチャイズ店舗です。

日本においては2026年3月末時点で2,116店舗あります。

ポイント制度に隠れたゴール勾配効果と損失回避

スターバックス リワードとは

スターバックス リワードは、スターバックスの会員プログラムです。日本版では、参加するとまずGreen会員から始まり、1年ごとの更新日までに累計250 StarsをためるとGold会員になります。Gold会員も、更新日までに250 Starsをためることで翌年もGold会員を継続できます。

一見すると、よくあるポイント制度に見えます。

しかし、Rule Questの視点で見ると、これは単なる値引きや特典ではありません。

「また行く理由」を積み上げるルール設計です。

① Stars:購買を進捗に変える仕組み

スターバックスで商品を買うと、Starsがたまります。

普通の購買は、その場で完結します。

コーヒーを買う。
飲む。
終わり。

でもStarsがあると、購買は「次のステータスに近づく行動」に変わります。

ユーザーは、

「あと何StarsでGoldになれるか」
「あと少しで特典に届く」
「今月もう一回行けば進む」

という感覚を持ちやすくなります。

これは、ゲームにおける経験値バーに近い設計です。

② 科学的根拠:ゴール勾配効果

この設計と相性が良いのが、ゴール勾配効果です。

ゴール勾配効果とは、人は目標に近づくほど、その目標達成に向けた行動が加速しやすいという考え方です。

とあるリワードプログラム研究では、報酬への進捗が見えることで、ユーザーの行動が加速する傾向が検討されています。特に「すでに少し進んでいる」と感じさせる設計は、報酬達成までの努力を促しやすいとされています。

スターバックス リワードで言えば、Starsは単なるポイントではなく、

「自分がゴールに近づいていることを示す進捗ゲージ」

として機能します。

③ Gold会員:ステータスを失いたくない心理

もう一つ重要なのが、Gold会員の更新です。

Goldになったら終わりではなく、次の更新日までにStarsをためる必要があります。

この構造は、

「Goldになりたい」

だけではなく、

「Goldを失いたくない」

という心理を生みます。

行動経済学のプロスペクト理論では、人は利得と損失を同じ重さでは捉えず、損失をより強く感じやすいとされています。いわゆる損失回避です。

スターバックスのGold更新は、この心理と相性があります。

「特典をもらうために行く」よりも、

「今のステータスを維持するために行く」

という動機が生まれるからです。

④ スターバックスがうまいところ

スターバックス リワードが強いのは、ポイント制度がブランド体験を壊していないところです。

安売り感を出しすぎると、ブランドの価値は下がります。

でもStarsは、値引きよりも「参加している感」「育てている感」を作ります。

ユーザーは単に安く買っているのではなく、

スターバックスとの関係を進めている

ように感じます。

Rule Questまとめ

スターバックス リワードは、ポイント制度ではなく、購買を進捗に変えるルール設計です。

ユーザーはコーヒーを買っているだけではありません。

Starsをため、ステータスを上げ、ブランドとの関係を育てています。

だから、次の一杯に理由が生まれるのです。

参考

STARBUCKS® REWARDSとは|スターバックス コーヒー ジャパン
スターバックス® リワード(STARBUCKS® REWARDS)は、スターバックスでの体験がもっと特別になるプログラムです。Starをためてごほうびと交換。さらに、参加するだけで楽しめる会員特典も充実。

https://cemi.ehess.fr/docannexe/file/2780/tversjy_kahneman_advances.pdf

https://home.uchicago.edu/ourminsky/Goal-Gradient_Illusionary_Goal_Progress.pdf

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